痛風にかかってしまった著者が、その治療の過程を持論とともにまとめあげた書籍の内容レビューです。
本のタイトルにもあるように、自身が無類の酒好きで(さすがは九州男児です)美味しい食べ物も好きだということ。
痛風にかかってしまった時は「専門医なのになぜ・・」と落ち込んだらしいですが、すぐに考えを改め「よし!どうせなら色々試して治療の過程を記録にとっていこう」と決心したそうです。
今回はそんな書籍の内容まとめと、私自身や周りの人間が関係した痛風・尿酸値の上昇に関する体験談を紹介していきたいと思います。
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痛風について
まずは著者の簡単なプロフィールです。
納光弘氏
1942年鹿児島県生まれ
九州大学医学部卒業
鹿児島県大学医学部付属病院で研修医として勤務後、九州大学医学部内科、鹿児島大学医学部内科、国立療養所南九州病院、公益財団法人慈愛会会長職
大学病院を中心とした錚々たる勤務経歴をもった著者が「痛風」にかかったということで、ご本人も衝撃を受けられ、今回の著書でその赤裸々な体験を医学的見地をもとに綴られているということ。
冒頭では「痛風」について簡単にまとめられており、それによれば、
・血液中の尿酸(プリン体という物質の老廃物)が原因
・尿酸がたまると関節の内面に沈着し、それが原因で関節炎を引き起こして痛みを生じる
・痛風が長引くと関節だけでなく腎臓などにも影響を及ぼすリスクがある
・尿の中に溶けきれなかった尿酸がたまると、腎臓や尿道に結石ができてしまう
となっています。
以前に読んだ別の書籍で「関節に付着して結晶化した尿酸を体内の白血球が”敵”とみなして攻撃する。これが痛みを生じる」という説明を思い出し、上記の解説がより分かりやすく頭に入ってきました。
さらに「尿酸」は数値で判断することができ、正常値はおおむね「7.0mg/dl」だとされています。
そんな痛風にかかってしまった著者の尿酸値は、もちろんそれを大きく上回っていたことが推測されます。
なぜ痛風にかかってしまったのか?
どうすれば治るのか?
好きなビールをもう飲めないのか?
そんな思いを胸に著者は自らの体を実験台にして「酒を飲んだり、飲まなかったりしながら、尿酸値を計測していく」記録を始めることにしたのです。
アルコールの摂り過ぎは尿酸値を上げる!
測定のためにはお酒を飲んだり、飲まなかったりして、アルコールと尿酸値の因果関係を洗い出さなくてはいけません。
そして数か月以上に渡る尿酸値の測定記録の結果、以下のような結論が示されていました。
・アルコールを大量に飲めば(尿酸値は)上昇する
・断酒すれば(尿酸値は)下降する
具体的には「日本酒または焼酎」を一日で飲む量を、
・1.5合⇒尿酸値は下がる
・3合⇒尿酸値は上がる
・大量のビール⇒尿酸値は上がる
としています。
ここから考えられるのは、
・少量のアルコール摂取だと尿酸値は下がる
・飲む過ぎると尿酸値は上がる
ということ。
えっ?
アルコールを取っているのに尿酸値が下がるの?
というのも、そもそもアルコールには尿酸値を上げる要因があり、それは、
・アルコールが途中で乳酸になり、乳酸が腎臓からの尿酸の排泄を抑制するために尿酸値が上がる
・アルコールが尿酸の代謝を促進して尿酸値が上がる
の2つだということ。
ただ摂取するアルコールが少量だと、その要因は働かず、むしろ「アルコールを飲むことでリラックスし、ストレスが減って尿酸値が下がる効果が大きい」と著者は規定しています。
こうしたことから「お酒は少量であれば気にすることはない」というのが、ここまでの結論になっていました。
つまり「アルコールの量を制限することで尿酸値は管理できる」ということにつながるわけですね。
尿酸値の上昇はストレス要因が大きい
次はストレスとの関係です。
アルコールと尿酸値との関係を自らの体で実験する中で、著者は病院長の職務によるストレスが原因で「尿酸値を上昇」させてしまっていました。
しかもこのときは、飲酒量との因果関係を掴めていなかったので「断酒」を自らに課していたのです。
「断酒しているのになぜ尿酸値があがるのか?」
そんな疑問を抱えつつ、さらに「ぎっくり腰」になってしまい、その痛みによる「不眠」が重なって、さらに尿酸値がアップしてしまうという悲劇が著者を襲います。
これらの出来事を踏まえて、以下のような相関関係が浮かび上がりました。
・断酒によるストレス
・激務によるストレス
・痛みによるストレス
3つの「ストレス」が尿酸値の上昇に大きな原因になっているのではないか?ということ。
この中で注目したのは「断酒によるストレス」です。
逆に好きなお酒を断つことで「ストレス」が生まれ、それが尿酸値をあげてしまうという皮肉・・・
他の2つのストレス要因と合わせて考えると、尿酸値の上昇はアルコールそのものだけでなく、精神的な理由がより大きなインパクトを与えているといえそうですね。
肥満も注意すべし!
アルコール、ストレスの次に最後にくる「尿酸値の上昇」の犯人は「肥満」です。
肥満には2種類あって、
・皮下脂肪型
・内臓脂肪型
があります。
2つのタイプが尿酸値に与える影響も別々にあり、それが以下のように説明されています。
・皮下脂肪型肥満は、尿酸とクレアチニンの排泄力が低下していく傾向がある
・内臓脂肪型肥満は、尿中の尿酸排泄量が高い値を示す
前者が排泄力の低下、後者が尿酸の量が増えた結果の「尿中への尿酸値の増大」がもたらされることになるというのです。
少し難しい説明になりましたが、要は
肥満は尿酸値をアップさせる
ということ。
肥満は痛風だけでなく、高血圧や糖尿病のリスクがあるので、普通に健康にはよくありません。
かくいう著者自身も痛風発生時は肥満体だったということで、まさに
・酒好き
・仕事が激務
・肥満
の3つがコンバインして尿酸値をウルトラマックスにアップさせてしまったという結果になってしまったのですね。
3つの原因への対処法
こうして痛風を構成する3つの原因が出そろった中で、著者は以下の方法をとって尿酸値の下げることに成功しています。
①アルコール
⇒飲酒量をコントロール。ストレス解消程度の量に抑える
②肥満対策
⇒ゴルフの練習やボウリングなどの運動の実行、食事の量を減らす
③ストレス
⇒投薬
①のアルコールは上記のとおりで、適度で少量をたしなむ程度がベストとしています。
お酒好きな人は飲まないでいると、逆にストレスをためてしまうので「断酒」ではなく「節酒」が良いというわけですね。
②の肥満対策は、年齢や体力に見合った運動を行う事が大事です。
スポーツが苦手ならば、できるだけ階段を使う、車に乗らずに歩くようにする、など、普段の生活で「体を動かす」ことがポイントとなっています。
食事に関しては「食べない」ダイエットよりも「量を減らす」ことが大切。
さらに「水分を多めにとる」ことも推奨しています。
この理由は、
「水分が不足すると尿の量が減り、尿中の尿酸濃度が高くなって、腎臓や尿路に結石ができやすくなってしまうから」です。
水分をたっぷりとって尿の量を増やすと、尿は薄くなり、尿酸が溶けやすくなるので、尿酸が排泄されやすくなり、腎障害や尿路結石を防ぐことができるということからきています。
推奨する摂取量の目安は「1日2リットル」が良いようですね。
さらに本書の核心部分ですが、ビールは他のアルコールよりも水分を多く含んでいるので、尿の量が増し、尿路結石を押し流してくれるという良い面があるということ。
なので飲酒を好む人であれば、適量であればむしろビールはおすすめなのではないかと思いますね。
本書では「プリン体が全く関係ないとはいえないので、お酒好きの人でビールがそこまでという人は、それ以外のアルコールを飲んだ方がよいかもしれない」と書かれています。
著者自身は大のビール好きらしいので、気にせず飲んでいるようですがね^^
もちろん飲む量は少なめにというのが前提ですね。
そして最後の③ストレスです。
一般的にはストレスからの解放と適度な運動や趣味によって、ストレスのレベルは下がっていきます。
しかし著者は勤務先の病院長としての職務や、その後の教授職でのストレスが重なったため、自力での「ストレス解消および、これ以上の尿酸値の降下」は難しいと判断し、投薬による尿酸値の解消を行うことにしています。
アルコールとストレスによる腎臓での尿酸排泄抑制が原因ということで、以下の薬物治療で改善をおこなったということ。
・尿酸排泄促進薬「ベンズブロマロン」
・尿アルカリ化薬「ウラリノット」
約3か月間の薬物治療の結果、開始当時は「9.2」あった尿酸値が「4.3」にまで下降する結果になったといいます。
もちろん、ここにアルコールの節制や運動・食事量のコントロールなどが加わったので、総合的な成果が「4.3」という通常以下の数値をたたき出すことができたようですね。
ということで、以上が本の内容の中でとくに注目した箇所を取り上げたものになります。
私や職場の上司・同僚の痛風体験まとめ
最後に私自身や上司、同僚が経験した尿酸値上昇や痛風体験を簡単に紹介します。
自分自身の体験
まず私です。
数年前に職場の健康診断で尿酸値が「5.0」と出ていました。
これだけなら正常値の「7.0」より下なので何の問題もありませんが、問題なのは前回測定時が「4.0」台だったということです。
健康診断は半年ごとに受けていたので「1.0」の上昇ということ。
少しの上がり幅ですが、ちょっと気になるなと思い、運動や食事の見直しを行いました。
というのも、その少し前に痛風にかかって苦しんでいた人を身近にみていたからです。
「ああはなりたくない」と思い、まだ数値が正常範囲内のうちに対処をしておこうと決めたのでした。
ちょうど当時は仕事のことでストレスがたまっていたり、それにともなって暴飲暴食もあったので、そこをコントロールしつつ、市販の尿酸サプリを買ってサポートすることにしました。
そのおかげで半年後の診断では、もとの「4.0」に戻っていました。
ほっと安心のひとときでしたね。
上司の体験
私が健康診断を受けて「やばい」と感じていた時の職場の上司です。
私がちょうど30代のときでしたが、その上司は40代半ばの方でした。
物流関係の課長職で、けっこうな激務の職場だったこともあり、かかるストレスも相当のものがあったと思います。
そのせいか飲酒量が結構あったようで、健康診断のときに上半身を拝見した時はお腹がぽっこり出ていました。
また普段から優しい方で誰かに怒鳴ることもなかったため、不満や鬱積をためこむ傾向があったのかもしれません。
そんな上司が痛風にかかり、職場で足をひきずって歩いているのを何度も見ました。
「大丈夫ですか?」と声をかけると「大丈夫、大丈夫!」とひきつる笑顔で去っていく姿をみて「倒れないといいけど」と心配していたことを思い出します。
幸い重症化することもなく、しばらくすると普段の上司に戻っていたので、たぶん定期的な痛風の発作には慣れていたのだろうと思います。
職場から自宅までの距離もそうとうあったのも、ストレスの原因だったのだと想像しますね。
この上司とは痛風のことでは、そのとき以上のことを話したことがないので、実際のことは分かりませんが、たぶん「ストレス」「飲酒」が最大の原因だと踏んでいます。
同僚の体験
以前にいた職場の同僚の体験談です。
小太りで心臓に持病をもつ同僚だったので、普段から病弱な部分は理解していましたが、ある日、急に休むことがあって「あれ?」と皆でいぶかしんでいました。
2週間後に復帰してきたときに聞くと「痛風にかかってたんですよ」とのこと。
詳しく聞くと、夜寝ていたら急に足の親指に激痛が走って「ぎゃああああ」となったということ。
その痛みは足の小指をタンスの角で思い切りぶつけた状態がずっと続くような感じらしく、立つことも寝ることもできずに布団の中でもだえ苦しんでいたといいます。
一人暮らしだったので助けを呼ぶこともできず、そのまま朝になったときに少しだけ痛みが和らいだときに、這って固定電話まで進んでいき、職場と病院に連絡したとのことでした。
病院では検査と薬をもらい、そのまま2週間の安静になります。
3日間は痛みは治まりませんでしたが、それを越えたあたりで徐々に和らいでいき、1週間後には完全に回復したということ。
あとの1週間は様子見と安静期間ということで、同僚はようやく復帰したという流れです。
同僚はかなり食生活が荒れており、普段はコンビニやスーパーの弁当、休みの日はピザやマクドナルドのハンバーガー、コンビニの唐揚げというジャンクフーダーぶりです。
さらにゲームが趣味だったので、仕事以外の日はほとんど部屋でゲームに興じる生活を送っていたといいますから「運動不足」「食事の乱れ」が徹底しているという印象でした。
しかもけっこう繊細な性格だったので、誰かの発言を気にしたり、叱責を受けるとかなり落ち込むようなタイプだったため「ストレス耐性」がかなり低いというのも、痛風への道のりを最短のものにしたのかもしれません。
お酒は飲まなかったので、そこがさらに「ストレス解消」が難しいという原因になっていたのかもしれませんね。
まとめ
以上が痛風に関する医師の体験本レビューと、私や身の回りの「尿酸値&痛風」体験談になります。
痛風は男性にとくに多い病気ですし、食事や飲酒、ストレスで誰でもなりうる危険をもっています。
コロナで社会的な制約が増える中で、職場や日常生活でも運動不足だったり、ストレスが溜まったりする傾向がさらに強くなっているのではないでしょうか?
そんなときこそ、できるだけ「体を動かす」「食事量を改善する」「飲酒量を抑える」ことを意識することが大事ですね。
ストレスはどんな環境でもつきまとうので、それを上手く乗りこなすためにも趣味だったり、スポーツ、少量のお酒で発散させていきたいもの。
運動に関しては当ブログでもいくつか取り上げているので、よければ参考にしてみてください。
*痛風に関する情報はあくまでも本の内容に沿ったものです。
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